不安を抱えた母からの告白
1週間ほど前の朝、はす向かいに住んでいる母が、神妙で、悲しそうな面持ちで私のところにやってきました。
母には、私の朝のお掃除のルーティンを手伝ってもらっていて、金曜と日曜を除いて毎日一緒にお掃除をしてもらっています。
「私やっちゃったの」
田舎に住んでいるので車は必須アイテム。
まだまだ元気で運動能力も高い母は車の運転も出来るので、どこかに突っ込んだのか?と一瞬思ったのですが、聞いてみると、昨日お友達と一緒にランチをしに行って、楽しく過ごして帰宅して、深夜になってからふと心に引っかかるものを感じて
「あれ?私、お食事代支払ったかしら?」と不安になって考えても考えてもどうしてもその支払ったときの情景が思い出せずに眠れなかったらしいのです。
「きっと、Kさんが支払ってくれて、私しれっとかえって来てしまったんだと思うの。」
とのことで、私は「直ぐに連絡したほうが良いよ。」と促して早速母もKさんに連絡を入れました。
すると、母はレジの前でお金を出したのではなくて、テーブルで、Kさんに自分の食事代を支払ったのだそう。
「ああ~。よかった。私全く記憶がなくて、迷惑をかけてしまったんじゃないかって…。娘に直ぐに連絡したほうが良いって言われてね。ああ~。よかった。ホントに。」
なんてKさんとお話して、そのあとに私もKさんとお話しました。
「いつもお世話になってます。あの、突然すみませんでした。母も迷惑をお掛けしたんじゃないかって、不安だったみたいで…。もしもこの先も、万が一こんなことがありましたら、母のためにも教えてください。」
Kさんは
「もちろん。もちろん。私がアプリを持ってるお店だったから、ポイントが欲しくて、テーブルのとこでお金をもらってしまったので、いつもと違ったからわからなくなってしまったと思うの。ごめんね~。何かあったときは、しっかり言うから大丈夫だからね。」
と仰って下さって、とりあえずは誰にも迷惑をお掛けしてないことは判明して一安心でした。
とはいえ、これは検査してもらってよい案件かもと判断して
「一応、診てもらった方がいいよ。予防や対策も早い方がいいと思うし」と提案すると、母も「うん。診てもらう。」と素直に聞き入れてくれて、昨日、専門の先生のところで検査をして頂いてきました。
母の性格と生活スタイル
母は152センチで40キロくらいの小柄な女性です。
先ほども言いましたが、素直です。
優しく、涙もろく、誰かのために一生懸命尽くしたり、お世話をしたりすることも、苦痛ではない性格。
悪口や不平不満なども言わない、物静かまではいきませんが、明るいけどたくさんしゃべるタイプではありません。
実の母ですが、いい人です。
但し、父が良くできるタイプなので、割とすべてを任せてしまいがち、そして父にしても全てやってしまいがちです。
大人しい人ですが、意欲的です。
踊りや、お習字、お琴を習っていて、練習も熱心。
朝に健康のために行っているストレッチも、もう数十年続けています。
運動神経もよくて、転びそうになっても転びません。走って向かいの自宅へ忘れ物を取りに行ったりもします。
ちょっと高血圧なので、お薬は服用していますが、目も近視はではないので、本を読んだりする時以外は不便はなく、歯もしっかり電動歯ブラシで磨いているので、全て残っているし、数か月に一度歯のお掃除にもいっているので、入れ歯の心配もありません。
ボケ防止のために数年まえからiPhoneも持たせていて、LINEやGoogle検索、スケジュール管理などは出来ます。
お花が好きなので、自宅にはサクラソウをはじめとする山野草がいたるところにあって、季節の花も飾ってあったりします。
こまめに草取りもしていて綺麗に保たれているので、時々「見せてください。」なんて言われることもあるようです。
また、私の家の庭の花も面倒を見てくれて、肥料を施してくれたり、草取りもしてくれています。
夜は23時ころには就寝し、夜間に排尿で起きることは全くなく、しっかり寝て、翌朝は4時や5時に起床しているようです。
食事もあまり脂っこいものは食べませんし、小柄でどちらかというと痩せていますし、野菜もしっかり摂っています。
というように至って健康的。というか健康なのです。
以前に一度、脳の検査をした際に、年齢相応の脳の委縮はありますと診断されましたが、年齢相応で問題はないとのことでした。
検査の結果
母からLINEで「なんでもなかった。」と連絡が来て安心していたのですが、弟から夕方に連絡がありました。
検査した病院が弟のお嫁さんの勤務しているところだったので、お嫁さんが詳しく聞いてくれたようなのですが、
病気までではないけれど、海馬の委縮は見られます。とのことでした。
海馬とは記憶を司る場所です。
1年くらい前に大きなストレスがかかっているとのことなのですが、これは一番下の弟のことで、心配事があって、その衝撃だろうと思われます。
このままいくとどうなるかというと、記憶障害が続いて、アルツハイマー型認知症になることもという診断だったらしいのです。
かなりのショックでした。
でも、まだ、病気の診断ではなくて、遅らせるために自分で色々考えて実行に移すことが大切だと言われたようです。
父の優しく無意識なパワハラ
さて、これが一番の原因だと直ぐに思いました。
父は優しく、しっかりとした考えで、大手の会社の取締役まで上り詰めたハイスペックな男性です。
大声で怒られたこともありませんし、家でも横になったりすることもなく、いつもきちんとしたたたずまいで、だらけたところを見たことがありません。
何でも修理して使ったり、作ったりと器用で、物を大切に扱います。
ボケないために、健康のために、太極拳と歩く会に行って、朝の体操もしっかりこなします。
そんな父は仕事を引退してから、いつの間にか母の家事仕事を全て奪ってしまいました。
なぜか?
それは自分がやった方が効率的で、きれいだと信じているからです。
初めのころは、なんでも取り返してやってしまうことに不満を漏らしていましたが、私の家の掃除を手伝ってくれていることで、少しは紛れたのかもしれません。
ただ、夕食こそ母が作っているようですが、献立を考えることもなく、そのため買い物にも行かなくなり、洗濯機の使い方もわからなくなってしまって、なんでもかんでも世話を焼いてしまう父のおせっかいのような優しさが、母の海馬の働きを悪くしてしまっているようなのです。
直ぐにでも父に行って色々改善しようと思いましたが、半年後の再検査の様子を見て、先生がそのような注意点も仰って下さるようなので、今はまだ、伝えないでくれと弟から言われてしまいました。
父と母は夫婦仲もよく、しっかり者の父が母をフォローする形で今まできました。
父が会社に勤めていたころは、家事仕事もあったので、バランスが良かったのですが、父が退職して、母の気持ちや女性としての家の役割などを鑑みることなく、全ての仕事を奪ったことで、使わない部分が少しずつ退化してしまったようです。
なんでもやってもらえる環境は幸せばかりを運んでこないのだと改めて確信しました。
というのも、父は私の一番下の弟にも形はちがいますが、与えすぎ、助けすぎで失敗しています。(ここでは、詳細は書きませんが)
79歳になる父を改善することは難しいなと思いました。
もちろん、言い方やタイミングを見計らって伝えるつもりですは、それだけではなく、私にできるとこを考えてみました。
新しいこと、楽しいことに挑戦してもらう
全善は急げです。
早速今日の朝、お掃除に来てくれた母に、
「なんでもなくてホントによかったね。とはいえ、時々同じことを繰り返して言ってたり、昨日しっかり話してくれたことを、初めてのテンションで言ったり、なくしものをしたりすることもあるから、対策はした方がいいよね。」
と言うと素直な母は
「そうだよね。今日が何日なのかとか、時々わからなくなったりするから。」
以前教えたiPhoneのスケジュール入力を最近してないことが分かったので、まずはこれからだなと思いました。
「せっかく覚えたんだから、毎日やろうよ。」と誘うと、これまた素直に快諾。
早速アプリを開いて、ゆっくりと丁寧に教えました。
アップデートしたことで、フォーマットはちょっと変更になってしまい、それが、入力できなくなってしまった原因だったようです。
理解できたようで、私も安心しました。
「明日も一緒にやろうね。」というと笑顔で答えてくれたので、良かったなと思いました。
夕方、母がまた家に来て、帰宅した後に他のスケジュールも入力しようとおもったら、続けて入力することが出来なかったとのことで、
「もう一度教えてくれえる?」とわざわざ教わりに来たのです。
母は素直で、そして努力家なのです。
この行為は私に小さな感動と、安心感を与えてくれました。
弟に記憶障害が進んでいくかもしれないと聞いたとき、悲しい気持ちになってしまって、胃薬を服用した私ですが、こんな近くに住めて、自営業であることに心から感謝しました。
私に出来ることをやろう!
育ててくれて、近くに住んでサポートしてくれる母に恩返ししたい。
とにかく、母の脳みそに刺激になるようなことを私がすればいいんだ!
私のことを大切に育ててくれた母が私のことを忘れてしまわないように、出来る限りのことをしよう。
今後のプラン
母は若いころ会社でタイピストだったらしいのです。
もちろん、もう数十年もキーボードを触ってはいません。
でも、新しいパソコンをプレゼントして寿司打を日課にしてもらおう。と思いました。
このサイトはパソコンのキーボードの配置を覚えて早く打ち込むための練習が出来るので、以前やっていたことがあるので、それを思い出しました。
実は今とっても忙しいのですが、仕事も大切ではありますが、なんのために働いているのかと言えば、大切な人たちのために働いているのだから、その大切ない人のために何かする時間位作らなけれは後で絶対後悔するなと…
出来るだけ時間を作って母に、母の脳みそに楽しく刺激を与えられれば、何かが好転するはずだと信じて、頑張ります。
変化が有ったらご報告しますね。
最後まで読んでくださって有難うございました。